北アルプス鹿島槍ヶ岳
山行記録    Toppage

山域・山名  北アルプス 鹿島槍ヶ岳
日   時  2010年9月17日(金)〜18日(土)
天   候  1日目 曇りのち雨  2日目 晴天
行   程 1日目
 扇沢駐車場(6:30) − 種池山荘(10:00-45) − 冷池山荘(12:20)
2日目
冷池山荘(6:05) − 鹿島槍ヶ岳(7:50-8:20) − 冷池山荘(9:25-10:00) − 爺ヶ岳(11:10) − 種池山荘(11:57-12:22) − 扇沢駐車場(14:20)
会社から帰宅後自宅を20時に出発。
扇沢の駐車場に着いたのが日付が変わって0時30分。
トイレの関係で扇沢駅の無料駐車場に車を止めました。
夜空を見上げれば満天の星空が広がっています。明日の天気も良さそうなので寝酒に缶ビールを飲んで素早く仮眠をとりました。

うとうとしていると前に止めた車のパーティーの出発準備で目が覚めました。
車の横に大きなテントを張っていましたが、男性1名、女性3名のグループです。
結構念入りに支度をしていましたが、目的地は私と違うようで、トロリーバス乗り場に向かって歩いて行きました。

朝食は昨夜作って来たおにぎり。素早くトイレを済ませて車を登山口横の駐車場に移動しました。平日と言う事もあって楽に駐車出来ました。

本当はテント泊で4日間程あっちへふらふら、こっちへふらふらする予定だったのですが、早朝の気温が5度まで下がり、今日の天気もあまり良くないようなので、小屋止まりに変更することにしました。
明日からの3連休は冷池山荘も定員を超える予約が入っているようなので、連休1日前に休みを取って登る事にしました。


鹿島槍ヶ岳 登山 写真 鹿島槍ヶ岳 登山 写真
扇沢の登山口駐車場 柏原新道入口

登山道は最初から結構な急登が続きます。今日1日なんとか降られずにいてくれればいいなと山の稜線に目をやると厚い雲に覆われています。
標高が高くなるにつれてガスが濃くなり、風が吹くと木々に付いた雨粒が雨のように滴り落ちて来ます。
霧雨に知らず知らずの内に全身が濡れてしまい、仕方が無いので上だけ雨具を来て登る事にしました。
雨が降っている訳でも無いのに衣服が濡れてしまい、この霧雨は始末に負えません。

やっと種池山荘に到着。小屋の中でトイレを済ませ、軽く行動食を取っていると、自衛隊員が2名下山して来ました。
今朝から訓練で爺ヶ岳に登ったのですが、風雨が強く寒くなってしまい先に下山して来たとの事です。
そんな話を聞いて種池山荘にいた登山者が皆二の足を踏む状態となってしまいました。
しばらくすると、後続の自衛隊員も下山してきて、話を聞くと雨が下から吹き上げて来てとても寒く、視界もきかない状態だったと話しているのが聞こえて来ました。

そうこうしていると鹿島槍ヶ岳からキレットを越えて五竜岳に向かっていた青年が強烈な風雨にキレット越えを断念して下山して来ました。
これが、追い打ちをかけるようにその場にいた登山者の何人かはこの先に進むのを諦めて、種池山荘泊の決断をしたようです。


鹿島槍ヶ岳 登山 写真 鹿島槍ヶ岳 登山 写真
爺ヶ岳登山口の標識を抜けて行く 雲海が広がっていて今日は天気が今一

私はと言うと何のこれしき、ダメなら引き返せばいいやと完全防備で、寒さ対策に上着を着込んで上下カッパを着て爺ヶ岳に向けていざ!出陣〜おー!!

ところが、小屋を出て這松を抜けて爺ヶ岳の登りの稜線に出ると、なるほど断続的に沢筋から稜線に向かって吹き上げるように体の左側に集中的に雨と風が吹き付けます。
悪天候に写真を撮るどころでは無く、ただひたすら冷池山荘を目指します。気が急いているせいか、どうしても歩くスピードが早くなって途中で立ち止まって「ハァハァ」荒くなった息を整えます。
爺ヶ岳の山頂にはとても立つ気になれず、巻道をひたすら雨に打たれて進みます。

必死で登った登山道を今度は必死で下ってふと観たら小屋が目の前に現れてやれやれ一安心。
今日はもしかしたら雨にやられるかもしれないと覚悟はしていましたが、ここまで天候が荒れるとはちょっと予想外でした。

小屋について受付を済ませて部屋に案内されました。
冷池山荘はとても新しくて綺麗で立派な山小屋なのでちょっとびっくりです。
1部屋がロフトの2階建てのようになっていて、ドアで仕切られています。1階は8畳ほどのスペースで今日はここに4人だけと、とても快適です。
250名収容のこの小屋に今日は30名くらいしか宿泊していない様子。かなり空いていて、とてものんびり出来ました。

部屋でご一緒だったご夫婦がとてもおもしろい方で、60歳になってから山を始めたそうです。混雑をさけて平日に登山されているようですが、なんと1回の山行が5日間位と長いのにビックリです。
今回も月曜日から来て五竜岳に登って降りて、鹿島槍ヶ岳に来る予定が天気が悪くて下で3日間ほど時間を潰していたと言うから驚きです。
山登りの為に毎日2時間近所の山でトレーニングをしているそうです。なんだか頭が下がります。

小屋に着いたのがお昼の12時を過ぎていて、同室のご夫婦と話し込んでしまい、昼食がすっかり遅くなってしまいました。
先ずは今日悪天候の中を登って来たご褒美に生ビールで乾杯しなくてはいけません。ここの生ビールは900円と他に比べると100円ほど高いようですが、そんな事はありません。ここの生ビールは正真正銘の中ジョッキで出てきます。
他の小屋だと、中ジョッキと言いながらも小ジョッキのような大きさの所が多いですからね。
雨がふる窓の外を眺めながら持参してきた赤ワインも全部飲んでしまい夕食まで談話室で時間を潰していました。

夕食は17時からで同室のご夫婦と隣同士になりました。
私も結構食べるの早い方ですが、このご夫婦あっと言う間にご飯をお代わりして、瞬く間に食事を終わらせて食堂を出て行きました。
なんだか唖然(@@


鹿島槍ヶ岳 登山 写真 鹿島槍ヶ岳 登山 写真
登るに従ってガズがかかって来た 風雨を乗り越え冷池山荘へ

夕食後ロビーのテレビで翌日の天気予報を観ると大陸から高気圧が張り出して明日は全国的に快晴が期待できそうです。
外は相変わらず真っ白で雨が降っていますのでほんまかいなと半信半疑ではありましたが、取りあえずは明日の天気を期待しつつ19時40分アイマスクと耳栓をして就寝。

翌日まだ暗い4時過ぎに窓を開けると何と!満天に輝く星空が広がっていました。
今日は絶好の登山日和間違い無しです。
5時からの朝食を済ませて、日の出まで時間があったのでカメラと三脚を持って小屋の前でご来光を待ちました。
眼下には雲海が広がり、除々に空が焼けて雲海の上に太陽が顔を出しました。


鹿島槍ヶ岳 登山 写真 鹿島槍ヶ岳 登山 写真
翌日は朝から快晴。朝焼けショーの始まり


なんと神秘的なんでしょう。何度観ても感動的です。鹿島槍ヶ岳も朝日に赤く輝いてとても綺麗です。
でも、皆さん出発準備が忙しくてあまりこの光景観ている人いません。とても残念です。

鹿島槍ヶ岳 登山 写真 鹿島槍ヶ岳 登山 写真
雲海の上にご来光 朝日に輝く鹿島槍ヶ岳


写真を撮っていたら、私が一番最後になってしまったようです。
しっかりとトイレを済ませて、荷物は小屋に預けて山頂へと向かいました。

鹿島槍ヶ岳 登山 写真 鹿島槍ヶ岳 登山 写真
冷池山荘と爺ヶ岳 山は秋。雨に濡れたリンドウが輝いている


今日は昨日とは違って目の前には大展望が広がっています。昨日登って来た種池山荘から爺ヶ岳方面、立山三山から剱岳とまさに手に取るように見えています。

鹿島槍ヶ岳 登山 写真 鹿島槍ヶ岳 登山 写真
爺ヶ岳方面を望む 剱岳をバックに記念撮影

鹿島槍ヶ岳 登山 写真 鹿島槍ヶ岳 登山 写真
立山三山と剱岳 剱岳


山頂手前で既に登頂を済ませて下山して来た同室のご夫婦とすれ違いました。
さすがに何事も早いですね。
私は天気がいいので写真ばかり撮っていて遅々として先に進みません。

鹿島槍ヶ岳 登山 写真 鹿島槍ヶ岳 登山 写真
富士山〜八ヶ岳〜南アルプス 山の斜面は紅葉が始まっていました

3年越しの計画が念願かなって鹿島槍ヶ岳山頂に到着。遮るもののない360度の大展望が目の前に広がっています。
爺ヶ岳から針木岳、その向こうに槍ヶ岳、薬師岳、水晶岳、鷲羽岳の山並み、立山三山から剱岳、キレット越しの五竜岳、その奥に白馬岳、火打山から戸隠にかけて、浅間山、富士山、八ヶ岳と山の頂が欲しいままです。


鹿島槍ヶ岳 登山 写真 鹿島槍ヶ岳 登山 写真
鹿島槍ヶ岳から爺ヶ岳〜槍ヶ岳方面 槍ヶ岳山頂にて


ここから大勢の方がキレットを越えて五竜岳に向かって縦走して行きました。その背中を観ながら羨ましいなぁと思う私。
小屋が混んでもこの天気じゃキレット越えて行くべきだったかなとちょっと後悔。

でも誰もいなくなった山頂独り占め。しばらく写真を撮っていましたが、そろそろタイムリミット。後ろ髪を引かれる思いですが下山しなければ。

鹿島槍ヶ岳 登山 写真 鹿島槍ヶ岳 登山 写真
キレットを越えて五竜岳 爺ヶ岳方面

鹿島槍ヶ岳 登山 写真 鹿島槍ヶ岳 登山 写真
火打山〜妙高山〜浅間山をバックに ウラシマツツジの紅葉


冷池山荘に戻ってザックに荷物を詰め込んで、爺ヶ岳に向かって登り返します。
昨日は真っ白で何も見えず、エスケープしてしまったので、今日はしっかりと爺ヶ岳の山頂を踏んでから下山しようと思います。
爺ヶ岳から鹿島槍ヶ岳をみるとガスが湧いてしまい、山頂付近は見えなくなってしまいました。

鹿島槍ヶ岳 登山 写真 鹿島槍ヶ岳 登山 写真
爺ヶ岳から鹿島槍ヶ岳望む。ガスが湧いて山頂は見えません 爺ヶ岳山頂にて


冷池山荘から爺ヶ岳まで結構多くの登山者とすれ違いました。
山頂から小屋に戻って部屋をのぞいたら、1部屋に11個の枕が用意されていました。
昨日は4人で快適でしたが、今日は11人入るんですね。

鹿島槍ヶ岳 登山 写真 鹿島槍ヶ岳 登山 写真
爺ヶ岳南峰 最後に歩いて来た冷池山荘方面を振り返る

爺ヶ岳から種池山荘への下りでも結構多くの登山者とすれ違いました。結構若者が多いのでちょっとビックリ。このまま若者が増えてくれるといいですね。

種池山荘に戻ってくると完全にガスが湧いて周りの景色が見えなくなってしまいました。
トイレ休憩と少し食料を食べてここから一気に下ります。

鹿島槍ヶ岳 登山 写真 鹿島槍ヶ岳 登山 写真
種池山荘に戻って来るとガスの覆われてしまう 種池


今日は登って下って又登って下ってよく歩いた1日でした。
午後になっても下から結構登って行く方がおりました。
14時30分無事に駐車場に到着です。

鹿島槍ヶ岳 登山 写真 鹿島槍ヶ岳 登山 写真
赤くなったナナカマドの実 扇沢の駐車場が見えればもうすぐ

取りあえず荷物を車に積み込んで大町温泉「薬師の湯」に向かいます。
脱衣場で服を脱いでお風呂場に向かうと「あれ〜」とここで昨日同室だったご主人とばったり。
又合いましたね。とお互い声をかけて、これで本当に最後ですね。又何時か何処かの頂きで合いましょうと言って別れました。
山での一期一会はいいものです。
ゆっくりと温泉につかって明日も会社は休みなのでのんびりと帰宅の途につきました。
初日の悪天候があったからこそ二日目の大展望にあれだけ感動があったのでしょうね。
山は時に厳しく、時に優しく、山に諭された2日間でした。



鹿島槍ヶ岳 登山 写真
登山平面地図  <クリックで拡大します>

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登山道標高差  <クリックで拡大します>

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