美ヶ原
山行記録  [ back ]

フリガナ ウツクシガハラ 
山域・山名 美ヶ原 (王ヶ頭  2034m)
日   時 2001年 2月2日(金)−3日(土) 
天   候 晴れ 
行   程  
所 在 地 長野県松本市、小県郡武石村 
2.5万図 山辺 
緯   度 36.1322 
経   度 138.0637 
備   考 携帯電話 NTTDoCoMo 使用不可。

冬期はビーナスラインが通行止めの為、和田村より林道経由になります。四輪駆動のジープ型車両なら安心ですが、雪道に不安のある方は和田村役場に車を置いて、宿の方が迎えに来てくれますので、宿に相談されるとよいでしょう。

宿泊場所
〒386-0701
長野県小県郡和田村美ヶ原高原
美ヶ原高原ホテル山本小屋
電話0268−86−2011
FAX 0268−86−2013
 


 ピッケルにアイゼンで冬山に挑むなんてのも楽しいんでしょうが、最近は雪の中を気軽に歩けるスノーシューが人気となっている。
 クロスカントリースキーとスノーシューは前々からやってみたいと思っていたので、レンタルもある美ヶ原に行く事にした。
除雪直後の林道

 今年は暖冬だと言われていたが最近各地でよく雪が降る。つい先日も大雪が降るなど、果たしてちゃんと目的地に到着出来るのか心配しながら朝6時に出発した。
 昨日も中央道がチェーン規制となっていたので、なるべく一般道は避けて高速道路を行く事にした。
 東名を御殿場で降りるとすでに辺りは雪景色となっている。東富士五湖道路も両側に沢山の雪があり、甲府に至ってはもはや雪国である。
 毎年この時期にこの辺りを訪れているがこれだけの雪がある風景は記憶にない。

 それでも道路には積雪も無く順調に岡谷ICまで来たが、料金所を過ぎると渋滞している。国道20号線に入っても動く気配すら無い。
 渋滞の原因は道路に積もった雪を重機で取り除きダンプカーに乗せて除雪作業をしているために、片側1車線規制となっている為であった。
スノーシュー

 岡谷周辺でも、もはや歩道や路肩、庭先などに雪があふれ、雪が降ったら除雪した雪で道路が通行出来なくなってしまう可能性があるようだ。
 民家に屋根には30センチをゆうに越える雪がのっているし脇道はチェーンが無いと通れない。

 ようやく渋滞を抜けて142号線に入る。この道は岡谷と上田を結ぶ一般道でトラックの交通量が多い。
 道路には昨日の積雪があり、上って行くに従ってその量が増えて行く。
 美ヶ原は有料道路ビーナスラインが通れれば苦労は無いが、生憎と冬期は通行止めの為、和田村から林道を経由してビーナスラインに出なくてはならない。

山本小屋
 国道142号線和田村役場の信号機を左折して真っ直ぐに進んでいく。道路は既に真っ白な状態で、管理事務所を過ぎると道幅が狭まり、車1台がやっと通れる幅しかなく、道路上には轍が出来るくらい雪がある。
 おいおいこんな所からこんなに雪があったんじゃ上まで辿り着けるのかと、ちょっといやだいぶ不安な気持ちを抱えながら雪深き林道を進んで行く。
 積雪の多い道はただでさえハンドルを取られるが、急カーブになるとその現象が顕著に現れる。
 今回は凍った積雪の上に昨日降った雪が積もり、その上を車が走っているので、凍った雪の上を新雪が滑りそれと一緒に車も滑るので始末が悪い。
 それでも何とかチェーンも着けずにそろそろと上がって来たが何だか路面状態は悪くなる一方のような感じになって来た。
 するとカーブの空き地に1台の軽自動車が止まっていた。そのカーブを過ぎるとローリー車が除雪を開始していた。
 おお、これは有り難い、とその後をついて行くと急カーブでローリー車が上がれず何度も下がったり切り返してまた上ったりを繰り返してようやく進んでいく。
 その後に続いて上って行こうとしたが、案の定滑ってしまって上る事が出来ない。
もはやこれまでと諦めて帰る訳にも行かず、その場でチェーンを着けていざ再出発である。
 今度はちょっとやそっとじゃ滑らないとは思いながらも普段雪道などあまり走る事がない上に、とんでもない道を運転しているので冷や汗ものである。
 やや広くなった所でローリー車が先に行けと言うがいやいやとんでも無い。一度でも来て道が分かっていればまだしも、全然状況が分からないので遅くても後を着いて行くとローリーの運転手に告げてそろりそろりと金魚のふん状態でようやく宿まで辿り着いた。
 いやーそれにしてもすごい道だった。まあこんなところまで車で来る方がどうかしているのかもしれない。宿の人に迎えに来てもらえば良かったと運転しながら何度も後悔しちゃったよ。まあ無事でなによりだったけど。
雪上車

 今日は「美ヶ原高原ホテル山本小屋」泊である。早速チェックインをして昼食を注文し、部屋に荷物を置いて食堂に出掛けて行った。
 我々の後ろで先程除雪していた方がやはり昼食をとっていたので、話しかけると今年はやはり雪が多いらしい。
 雪が降った翌日は除雪に上がってくるらしいのだが、これから下りながらもう片方を除雪して行くので帰りは道幅も広がっているので今日より安心となんとも心強いお言葉。

 ここまで来るのにかなり疲れてしまったが、部屋で寝ていたのではただの観光になってしまうので、早速新調したばかりの厳冬期用オーバージャケットとオーバーズボンに身を包み、雪の中へと出掛けて行った。
 今回ここを選んだのはクロスカントリースキーとスノーシューを貸して貰える事と、美ケ原という大量積雪の平原があることが大きな理由である。
 早速両方を借りて、先ずはスノーシューから試してみた。
 去年の2月に入笠山に登った時に雪に潜ってラッセルに喘ぐ我々の横を涼しい顔して通り過ぎたご婦人の姿は今だ忘れられず、脚に着けられたスノーシューの威力に魅せられてしまい、是非購入したいと思わせた程の実力は如何なるものか、もし調子がいいようならば購入も検討したいと思っている。
 登山靴をスノーシューに載せてベルトで縛れば出来上がり、あっけないくらい簡単である。
 歩いてみるとかかとが上下するのでなるほど歩き易い。深い雪の上に乗ってもズボッと深く沈む事はもちろん無く、思った通り深雪では威力を発揮しそうである。

 宿を出て美しの塔までスノーシューで歩いて行く。辺り一面は目に眩しい程の白い雪に覆われていて、我々以外の足跡は獣以外には無く、新雪の上に新しい足跡を思う存分付けて美しの塔までやって来た。
美しの塔
 今日は晴れて青空が広がっているが、若干風がある。耳が痛くなって来たので耳あてをしたがすぐにはなおりそうも無い。
 手袋を重ねてはめていたが写真を撮るのに邪魔なので暫くはずして周りの景色を何枚か写真におさめた。
 今日は山頂付近に若干の雲があるが八ヶ岳連峰がほぼその全容を見せている。その横に丸い山容の蓼科山、浅間山周辺もよく見えていた。
 しばらくパチパチとシャッターを切っていたら、手の指先が猛烈に痛くなってきた。特に左手の指先が針で刺したように痛い。慌てて手袋をしたが歩き出して血が回って痛さが収まるまでにしばらく時間がかかる。
 今日は到着までに相当時間を費やしてしまい、あまり遠くまでは行けそうに無い。

 一旦宿に戻ってコーヒーを飲みながら何気なくカメラを見るともうすでに電池が無くなりそうである。
 家を出る前に充電したばかりで、いつもの三分の一しか撮っていないのにおかしいじゃないかと思ったが、どうも低温下では予想以上に電池の消耗が早いようだ。
ミソサザイ

 予備の電池も持って来たがこれじゃとても持ちそうにない。売店にアルカリ電池があったので予備の予備にと4本購入してザックに入れた。

 一息付いてスノーシューからクロスカントリーに履き替えて今度は先程と反対方向に向かって歩き出した。
 クロスカントリースキーも初体験だが、私がスキーを始めたきっかけが雪山をスキーを履いてうろうろしたいと言う動機からだっただけにかなり期待を持っていた。。
 つま先を板に固定して踵がフリー状態で上下に動くので雪の中を歩くのには不自由しない。
 ストックを使いながらスッスッと何とも愉快、爽快、快適に雪の中を進んで行く。こんなに楽しいスキーも久しぶりである。
 途中立ち止まって写真を何枚か撮ったが、雪のある山はとにかく寒いので着る物にしても手袋にしても装備が大袈裟になってしまい、写真一枚撮るのに一苦労である。いつものように気軽にちょっと止まってパチリというわけにはいかないのでついつい写真の枚数が少なくなってしまう。
 それでも折角来たしホームページにも載せたいので、首から下げて胸に仕舞ってあるカメラを引っ張りだして、ストックをその辺に転がし、手袋を外し、かじかんだ手で素早く撮って、胸に仕舞ってジッパーを上げて、手袋をして、ストックを拾って、どうかするとバランスを崩してすっころんでしまったりとまあ雪山ならではの苦労もあるもんだ。
薪ストーブ

 さてひとしきり進んで来たけれどそろそろ戻らないと暗くなって来そうな時間となり、向きを変えて宿の方に戻る事にした。
 今まではずっと登り専門だったのでよかったが、このクロスカントリースキーは踵が固定されていないばかりか、エッジも付いていないので、下りは曲がれない、止まらない、転ぶ以外に止まる方法があるのかどうか、歩くのにはいいが下りはちょっと問題ありだなと言うのが素直な感想である。
 ボーゲンで滑る事も出来ないとなるともはや転ぶしか無く、帰りは諦めてスッテコロリンと転びながら何とか宿まで帰って来た。

 冷えた体は温めるに限るので早速風呂に入りに行く。ここは標高が2000mもあるが、風呂は何と温泉である。てっきり沸かし湯だとばかり思っていたのでなんかもうけた気分で風呂につかった。

 風呂から出ればやっぱ冷たいビールでしょ、とそそくさと食堂に出向く。
 夕食は鴨のすき焼きである。その他にも品数豊富で、ぐつぐつと煮える音といい匂いに酒が進む事、進む事。完全に酔っぱらいモードに突入したところで部屋に戻って飲み直す為に、ワインを1本頼んで部屋に持ち帰った。

 いつもならここでだらだらと意地汚く飲んだくれて寝てしまうのだが、今日はちょっと違うのだ。
 酔っぱらいながら再びオーバージャケットを着込み星の観察に外に出て行ったのである。
クロスカントリースキーで徘徊

 外は氷点下14度、寒いなんてもんじゃない。手袋も着けずに夜空を眺めるとまだ20時過ぎでちょっと早かったが、沢山の星がキラキラと光輝いていた。下界から眺める星とは明らかに違い、星はこんなにも明るいものなのかと山の上から夜空を見上げていた。
 写真を撮ろうと思ったが、シャッタースピードの調整の仕方が判らない。解放で暫くレンズを開けていなくては星は写せないのだが、方法が判らなくては仕方がない。ぐずぐずしていると、氷着きそうなので適当に写真を撮ってみたが、案の定月だけしか写っていない。

 あまりにも寒かったせいか、酔いが一変に冷めてしまった。冷え切った体をもう一度温泉で温めなおして、部屋で先程のワインを飲んで、ビールをもう1本飲んで布団に入る。

 翌日も天気はまずまずである。朝食を済ませ、早速クロスカントリースキーを履いて宿を出掛けて行く。
 外に出て自分の車をみると、どこもかしこもガチガチに氷着いてしまっている。
 カメラを見ると又しても電池が切れ掛かっている。こう電池の消耗が早いのなら充電器を持って来るべきだった。昨日売店で買った電池に交換して胸に中に仕舞い気を取り直して歩き出す。
 今日は美ヶ原の最高地点王ヶ頭まで行くつもりでいる。昨日に比べて若干雲が多く、四方の山々も雲がかかってしまっている。
 昨日は若干風があったが今日は無風状態で、気温は低いが寒いというほどではない。
ナイマス20度で車もガチガチ
 美しの塔を過ぎて直接王ヶ塔には向かわずに真っ直ぐに歩いてちょっと遠回りをしながら行くと、夏の時期はトイレらしい建物が雪に埋もれて寂しそうに建っていた。ここで向きを王ヶ頭方向に変え緩い登りを歩いて行く。
 立ち止まって遠い彼方に目をやると、白い山々に雲がまとわりついていて昨日ほどは展望は良くないようだ。
 サングラスを外して雪を眺めてみたら風が作り出す幾何学模様が太陽の光を浴びてキラキラと美しく光輝いている。
 自然の作り出す風景は我々が想像もしなかったような光景を見せてくれる事があるが、冬は特に素晴らしい。
 胸元からカメラを取り出して何枚か写真を撮って再び歩き出した。王ヶ頭からスノーシューを着けた二人組が下ってくる。今日はじめて会う登山者だ。

 王ヶ頭は美ヶ原の最高地点で、放送局の電波塔がいくつも建っている。この電波塔が著しく雰囲気を台無しにしてしまっているが、まあ仕方が無い。
八ヶ岳方面を望む

 王ヶ頭につくとここにもホテルが建っている。夫婦連れで写真を撮っている方がいて、私も何枚か写真を撮ったが展望は相変わらずだ。
 ここを越えてもっと先に行きたかったけれど、今日は午前中で帰るので、残念ながらここで引き返す事にした。

 登って来る時はよかったが帰りはちょっと急である。普通のスキーなら何て事のない斜面だがクロカンはどうにもならない。ただひたすら止まる為に転び、転ばない為にゆっくりと下ってくるので平らなところまでくるのが一苦労である。
 ようやく平原まで戻って来るとスノーモービルを走らせて楽しんでいるグループの姿が遠くに見えている。
 エンジンが付いていれば楽には違いないが、やはり私は自力で歩き回る方が楽しい。
 宿までの帰り道では数組の登山者とすれ違ったが、これだけ広い平原じゃ物の数にもならない。
電柱にエビのシッポが出来てる

 宿に戻って風呂に入り昼食に頼んでおいたジンギスカンを食べてとても楽しかった二日間があっと言う間に過ぎてしまった。
 帰り際に私の車の隣でテレマーク用のスキー板を積んでいる人がいたのでちょっと話を聞いて見たら、クロスカントリー用よりもエッジがある分だけ下りが楽だと言っていた。
 まあ今回は初めての体験だったのである意味仕方が無いが、テレマークスキーも含めて今後もう少し検討していかなければならないようだ。

 宿を出て両側が綺麗に除雪されて広くなった林道は来た時よりも走りやすく、昨日の状態じゃ下りはどうなっちゃうのと思ったがそんな心配も無く、行きと同じく道路の雪を片付けるための渋滞にあいながら戻って来た。

 今回は本当に楽しい山遊びであった。ゲレンデスキーもこれ以上の上達も見込めないので、ちょっとマンネリ化して足が遠のいていたが、今回の体験がきっかけとなって、きっとどこかの山の中をスキーを履いてうろうろする機会は確実に増えるに違いない。 

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