赤岳
山行記録  [ back ]

フリガナ アカダケ 
山域・山名 八ヶ岳 赤岳 2899m
日   時 2000年7月29日(土)〜30日(日) 
天   候 晴れ 山頂付近霧 
行   程  赤岳山荘(5:05)−行者小屋(7:45-8:10)−赤岳展望荘(9:10-50)−赤岳山頂(10:25-11:00)−文三郎道分岐(11:30)−中岳(11:56-12:05)−阿弥陀のコル(12:30)−行者小屋(13:20-50)−赤岳山荘(15:45) 
所 在 地 山梨県北巨摩郡高根町・大泉村・長野県茅野市、諏訪郡原村、南佐久郡南牧村 
2.5万図 八ヶ岳西部 
緯   度 35.5803 
経   度 138.2223 
備   考  


梅雨明け以降連日暑い日が続いている。中野さんの穂高山行トレーニングを兼ねて釈迦ケ岳に続いて今回は八ケ岳の主峰赤岳山行である。

宿泊した赤岳山荘

 午前中に車の点検を済ませ、午後一番の出発である。今回の予定は登山口で1泊し、翌朝赤岳を往復する計画である。
 ちょっとせわしなく大変な気もするが、各々仕事の都合もあり仕方が無い。
 前回に続いて藤生さんは旅行で欠席、大谷さんも参加が危ぶまれたが、無事孫も生まれ目出たく参加出来る事になり、4名で美濃戸に向けて出発した。

 朝霧高原で雨が降っていたがそれ以外は相変わらず天気が良く、甲府南から中央高速に入る。
 夏休みの土曜日にしては道路渋滞もなく、順調に目的地に向かって走り続けていると、突然我々の前を走っていた乗用車にバスが接触し、乗用車は回転したかと思うとアッと言う間に路側帯のガードレールに衝突、車体前部が大破してしまう事故が起きた。

ギンリョウソウ


 一瞬の出来事に慌ててブレーキを踏んだ。幸い車間距離をとっていたので巻き込まれずに済んだのが、事の詳細は3車線の真ん中を我々は走行しており、その前を乗用車が走っていたのである。その乗用車と平行して一番右側を走行していた観光バスがいきなり左に車線変更したために乗用車に接触、驚いた乗用車が急ブレーキをかけ、方向性を失った乗用車が路側帯に飛び出して衝突したと言う訳だ。
 この後、バスはしばらく走行を止めようとはせず、逃げるように見えたが、長坂ICの手前で左側に寄って停車した。
 本来なら我々も停車して事情説明をしてあげればいいのだろうが、こちらにも予定があり、ここで時間を喰う訳には行かず小淵沢ICで降りる時に料金所で尋ねたら、一報が入っているとの事だったのでそのまま中央高速を抜けてしまう。

行者小屋

 途中のコンビニで明日の食料と飲料水を購入して美濃戸口から林道に入る。
 道は未舗装で狭くなり途中で数台の車とすれ違う度にバックしたり、バックしてもらったりしながら、本日の宿泊先赤岳山荘に到着した。

 入口近くの部屋に通され4人では広すぎるくらいである。下界では猛暑だと言うのに、ここでは窓を開けているととても涼しい。クーラーと違って天然の風はとても爽やかである。
 しばらく休憩して風呂に入り、夕食が出来たと言うので食堂に向かう。今日は特別に馬刺まで付いていてかなり豪勢な食事であった。
 夕食の途中で中野さんに電話が入り、明日ガイドの勝亦さんが同行してくれる事になった。
 夕食後部屋で一杯飲んでいると小屋のおばさんがつまみにきのこを差し入れてくれた。
 明日は5時発なので21時を過ぎた頃就寝。夏の真っ最中、家ではへそ丸だしでサウナ状態の中で寝ているが、今日はなんと毛布まで掛けて寝るくらい涼しく、毎日熱帯夜で寝不足気味だったが、久しぶりに快適な睡眠が取れそうだ。

チシマギキョウ ミヤマミミナグサ タカネツメクサ

 翌日中野さんの「そろそろ起きませんか」と言う声で目が覚めた。出来る事なら昼頃まで寝ていたい気分だかそうもいかない。
 出発準備を済ませ、朝食は途中でとる事にしたのでおむすびにしてもらってある。
 しかし、むすびを見たらなんだか無性に食べたくなってしまった。コンビニで買って来た味噌汁にお湯を入れ大きなおにぎりをぱくついた。
 腹が減っているせいかなんだかとても旨い。2個目も食べちゃおうかと思ったが、歩き出す前にそんなに食べてもと、思い止まって紙に包んでザックにしまう。
 小屋のおばさんに勝亦さんが見えていると言われ慌てて支度をして、部屋を出た。挨拶を交わして赤岳山荘を出発する。

 早朝のひんやりした空気でそれ程汗をかかずに済んでいる。猛暑を予想してザックには大量の飲料水が入っているので、何時よりちょっぴり重たい気がする。
 今日は行者小屋から文三郎道を経て赤岳に登り、地蔵尾根を下る計画だったのだが、勝亦さんに地蔵尾根を登って文三郎道を下った方がいいと言われて計画を変更する。

タカネシオガマ コケモモ コケモモ(実)

 行者小屋まではそれ程の高低差はなく、比較的平坦な登山道が続いている。勝亦さんに花を教えてもらいながら途中で朝食を食べて、のんびりと歩く事2時間40分行者小屋に到着。
 ここはテントサイトもあり水も豊富でテント泊には最高のところである。休憩していると勝亦さんが小屋からコーヒーを持って来てくれてご馳走になりながら、これから登る地蔵尾根を見上げると小さく人の動いているのが判る。
 当初の計画で登る予定だった文三郎道を見ると、これ又すごい急斜面でおまけにずっと階段だ。これじゃ文三郎道を登ったのでは苦労するはずである。
 赤岳山頂付近はガスがかかったままで、すっきりと見ることが出来ない。大同心もガスがまとわりついている。この分だと山頂からの展望は望めそうもない。

タカネニガナ イワベンケイ イブキジャコウソウ

 行者小屋から地蔵尾根を登り始める。急登なので振り返るとあっと言う間に行者小屋が小さくなって行く。
 稜線に出ると赤岳展望荘はすぐそこだ。風が強くて帽子が飛ばされそうだ。チシマギキョウがいい色をして風に揺られて咲いている。リンドウはまだ蕾も固くこの花と共に八ケ岳の花も終わりを迎えるのだそうだ。

 赤岳展望荘に入って、ここの支配人が書いた本を紹介された。八ケ岳の花が一杯載っている本で、皆で購入し著者の北原さんにサインをしていただいた。
 曽我さんと中野さんが花の写真を撮りに出掛けている間、我々はのんびりと小屋の中で椅子に腰掛けて休憩していた。

クロクモソウ チョウノスケソウ コマクサ

 展望荘を出て山頂に向かったが風が一段と強く、半袖ではとてもさむくていられない。慌ててヤッケを出して着込み山頂へと向かう。この辺りにもたくさん花が咲いている。
 ようやく着いた赤岳山頂には大勢の登山者が休憩している。写真は後回しにして風を避けて腰をおろし、昼食にした。
 勝亦さんがうまくペース配分してくれたお陰で全員あまり疲れた様子もみえない。
 吹き抜ける風は強いのにガスは晴れず、残念ながら山頂からの展望はえられない。

ミネウスユキソウ シャクナゲ

 記念写真を撮って、時間的にもまだ早くこのまま文三郎道を下らずに中岳を経由して、阿弥陀のコルを下る方が花も多いのでいいだろうと勝亦さんが言うのでコースを急遽変更して中岳に向かう。
 赤岳山頂から急な岩場を下りきると今までガスっていた中岳への急な登りが突然見え始めた。
 斜面にはコマクサが群生している。今の時期横岳と硫黄岳の間は一面コマクサで覆われていてとても綺麗らしい。今回は残念ながら時間がないので見られないが、この辺りも結構コマクサが増えて来ているようだ。将来が楽しみである。
 昨日からはえ叩き代わりに大活躍していた大谷さんの麦わら帽子が風に飛ばされてしまい、ここで斜面に落ちていた帽子を勝亦さんに拾ってもらってそれを大谷さんが被っている。帽子にはナイキのマーク入りである。

 クルマユリ ミヤマキンバイ

 今日最後の登りを終えて中岳山頂で休憩して行者小屋に向かって下り始めた。この辺りにも色々な花が咲いている。クロユリもまだ残っておりしっかり写真におさめ、キンポウゲの群落がとても素晴らしい。今日は写真を撮るのにとても忙しい。
 阿弥陀のコルから樹林の中に入り、ようやく行者小屋まで戻って来た。
 小屋の中でコーヒーを飲んで最後の大休憩をとって、美濃戸の赤岳山荘に15時45分無事到着。
 小屋の前で冷えたトマトをご馳走になり、お世話になった小屋を後にした。

 今回は山頂付近がガスで覆われ展望はダメだったが、勝亦さんのお陰で色々な花を楽しむ事が出来た。我々だけではこれだけの種類の花を見ることは出来なかっただろう。

ミヤマクロユリ ヨツバシオガマ タカネグンナイフウロ

 手帳にメモしただけで21種類、写真を撮った花は30種類以上である。これだけの花を写真に撮ったのは今回が初めてである。
 ゆっくりのんびり、花を見て写真を撮って「花の八ケ岳」を十二分に楽しむ事が出来た。こういう山登りは本当にいいものである。

 勝亦さんには本当に色々とお世話になり、この場をかりて厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。 


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