本白根山・湯ノ丸山
山行記録  [ back ]

フリガナ モトシラネサン・ユノマルヤマ 
山域・山名

本白根山(2171m)・湯の丸山(2099m) 

日   時 1998(平成10)年 6月13日(土)〜14日(日) 
天   候  
行   程 6月13日(土)
本白根登山口(10:04)−展望台(11:10)−鏡池(11:36)−ゴンドラ山頂駅(12:21)−登山口(11:25-40)−レストハウス(昼食)(11:50-13:30)−渋峠(13:44)−高天ケ原(15:05)−万座プリンスホテル(15:47)
6月14日(日)
万座プリンスホテル(8:10)−湯の丸駐車場(地蔵峠)(9:20-40)−湯の丸山(10:54)−湯の丸駐車場(地蔵峠)(11:50) 
所 在 地 本白根山 群馬県吾妻郡草津町
湯の丸山 群馬県吾妻郡嬬恋村、長野県小県郡真田町・東部町
2.5万図 本白根山 上野草津
湯の丸山 嬬恋田代 
緯   度 本白根山 36.3711
湯の丸山 36.2554
経   度 本白根山 138.3206
湯の丸山 138.2415
備   考  


6月13日
 金曜日に夜討ち朝駆けで志賀高原の岩菅山へと出かける予定であったが、梅雨のこの時期さすがに晴れ男の神通力も空しく天気予報は降水確率50%と報じている。
 しかたなく行程の長い岩菅山を中止して、急遽草津白根山へと予定を変更して3時30分に出発。中央高速を須玉で降りて、佐久甲州街道を軽井沢目指して走っていく。鬼押出しハイウェイに入ると霧が深く雨模様となり今日の登山が思いやられる感じである。

 白根火山の駐車場に車を止めて、カッパを着込んで出発する。道路を越えて反対側へと向かったが、登山口らしきものは見あたらない。清掃しているおばさんに聞いてみると、この下の道を行ったところが登山口だと言う。歩くと20分以上はかかるので車でも行けると言うので駐車場に戻って車に乗り込んで登山口へと向かい直す。

 登山口には雨にもかかわらず多くの車が駐車しており、出発準備をしている人達もかなりいる。我々は既に準備が出来ているので早速登山口へと向かう。
 リフトの脇を通って登って行くと所々に木道が設置されている。イワカガミやコケモモが道端に咲いており、花を見たり写真を撮ったりしながら、かなりゆっくりしたペースで進んでいく。
 天気の方もカッパの上着を脱いでザックにしまって歩けるくらいの状態を保っている。景色の方は周りを見回してみても、当然ながら白一色でなにも見えない。

 相変わらずゆっくりしたペースで砂礫地まで歩いて来ると、なんと!高山植物の女王コマクサが辺り一面に咲いているではないか。あまりの見事さに思わず「わー」と声を上げてしまうほどである。
 コマクサと言えば花はピンク色をしているのが普通だが、ここのコマクサは赤い色をしているのが特徴である。この辺りでは9割が赤で1割がピンク色なのだそうだ。こんな光景に出会えるとは予想もしていなかっただけにまさに幸運であった。

 両側の砂礫地にコマクサが咲いているので中に入れないようにロープが張られている登山道を進んで行くと本白根山山頂である。
 展望台が設置されていて、その裏に草津歩こう会関勝美君8ミリ撮影中に心臓麻痺でこの地に眠る、と書いてあるプレートが付いている。
 我々の後から腕章を付けた人がやってきて献花をして手を合わせている。ふとプレートを見ると今日が命日なのである。1968年6月13日、今から30年前の今日亡くなったのだ。
 その人に聞いてみると、毎年この時期にやって来て花を供えているのだそうだ。亡くなった関さんという人は草津歩こう会の初代会長を務めた人だと言っていた。
 両側に張られたロープもこの人達が張ったり外したりして管理をしているとの事。ついでにコマクサの事を聞いて見るとやはり例年より2〜3週間早いと言う話であった。
 この展望台からの景色は最高で大きな浅間山が小さい小浅間山を従え、黒斑の荒々しい尾根と篭ノ登、鹿沢五岳の丸い峰、六里ケ原の広大な高原に碁盤目のような別荘地の道路。小さく光る照明湖、田代湖。一日中眺めていても飽きない眺めだ。と言いたいところだがこれば全部ガイドブックの受け売り。辺り一面真っ白でなにも見えない。

 この先鏡池に向かって下り坂となっており、雨で滑りやすい木道を慎重に降って行くと、今度はイワカガミの群生が我々を迎えてくれた。こちらも見事の一言である。斜面に沿ってびっしりと咲いたイワカガミは今がまさに最高である。コマクサと言い、イワカガミと言い、これだけ群生して咲き誇っている光景にはそうそう出会えるものではない。

 鏡池まで来ると休憩している人がおり、聞いてみると霧で池は何も見えないと言うことなのでそのまま通り過ぎる。このあたりで雨足が若干強くなり再びカッパを来てゴンドラ乗り場の林道へと出てくる。

 車に戻って着替えをし、ゴンドラ山頂駅のレストハウスで暖かいそばやうどんを注文して、朝コンビニで買ってきたおにぎりと一緒に昼食をとる。
 食事が終わってこのまま横手山へと向かう。
 駐車場に付くと風が強く雨も降っている。どうしようかとあれこれ迷った結果、横の喫茶店で色々と尋ねて見ると、高天ケ原のゴンドラを利用して山頂の高山植物園がいいということになり、ゴンドラ乗り場まで行くと強風の為に運転中止。その先にリフトがあるとのことでそちらに向かうと動いてはいるが相変わらず雨が降っており、山頂まで行っても最終のリフトに間に合いそうもないので諦めて、本日の宿泊地万座プリンスホテルへと引き返す。

 ホテルの周辺は硫黄の臭いが鼻を突き、いかにもいい温泉がありそうである。かなりの宿泊客がいるのか駐車場も満杯の状態である。
 受け付けを済ませてしばらくロビーで待っていると案内係の人がやってくる。
 今日は満館の状態でかなり混雑しているようだ。部屋は10畳の和室を予約してあったので部屋に入ってゆっくり休憩をして風呂に入りに行く。

 風呂場もかなり混んでいて洗い場が空いていない。取り合えず外の露天風呂に浸かることにする。
 外には3つの風呂があり、私と杉本さんが後ろを向いている隙に曽我さんが今女の人が出て行ったと言う。外の露天風呂は混浴なのだそうだ。
 湯船に浸かりながら周りを見渡すと、コマクサ畑と書かれている看板がある。見れば今日、本白根山で見かけたコマクサが咲いている。こんな所で眺めてもちっともありがたくないな、価値が半減してしまうと皆で言いながら硫黄の臭いが立ち込める白く濁った温泉に浸かって山の疲れを癒す。

 夕食はバイキング、和食、中華から選べるのだが、我々は和食を食べようと出向いて行くと満席で入れない。
 予約をして一旦部屋に戻り、再び出かけていく事になる。和食は定食としゃぶしゃぶの2種類あり、藤生さんが定食を頼んで他の4人はしゃぶしゃぶを注文する。定食はあまり量がないようだったが、しゃぶしゃぶの方はかなりの量があった。

 夕食が終わって部屋に戻り浴衣に着替えていると、大谷さんが浴衣の帯かないという。杉本さんがフロントに電話を入れて一つ持ってきてもらいたいと連絡をする。かわいい女の子が持ってくると言うのでドアのチャイムが鳴ったと同時に「ハーイ」とかわいく返事をしてスキップしながらドアを開けてビックリ、アンパンマンのような顔つきの、もさっとした男の人が立っており思わず唖然!ドアを閉めて倒れ込んでしまった。すっかり杉本さんに騙されてしまった。 テレビを見ながらワインを飲んで22時就寝。

 次の朝目が覚めると外は雨。今日もカッパを着込んでの山行になりそうである。
 7時に朝食を食べに出かけて8時にチェックアウト。鳥居峠を経由して鹿沢を通り過ぎて湯の丸山へと向かう。
 ここはツツジが有名で今が盛りだという。途中で湯の丸山登山口の標識が建っているので車を止めて見に行くと、山菜取りの人が下っててくる。尋ねてみると、ここからも行けるけど雨が降っているしびしょびしょになっちゃうよと言う。普通の人から見ればこんな雨降りの日に山へなんか登るのは考えられないようだ。この先の峠に行って聞いてみたらと言うのでそちらに向かう。

 地蔵峠まで来ると、広い駐車場に車を止めてカッパに着替えている人達が大勢いる。スキー場のゲレンデを登って行く人もいる。間違いなくここが登山口なのだ。
 我々もカッパに着替えて登り始める。ゲレンデを登り終わると登山道となっており、両側には綺麗なレンゲツツジが咲いている。
 しばらく行くと右側に入って行けるようになっており、辺り一面に満開のレンゲツツジが咲いている。ガイドブックにはこの辺りに30万株自生している書いてあったが見事なものである。
 ここを過ぎると人の数もグッと減り鐘が設置してある場所を過ぎたあたりから本格的な登りとなる。雨があがって麓の景色も時折見られるようになり、暑くなって来たのでカッパを脱いで登る。山頂近くまで来るとシャクナゲがある。花はとっくに終わってしまっていたが、咲き遅れた花ををほんのわずかだが見ることが出来た。

 湯の丸山山頂からの景色は当然ながら真っ白で何も見えない。写真を撮って一服し、雨が降って来たので下山する。
 下山は雨に濡れた石が滑るので要注意である。以前滑って転んで尾てい骨を強打してえらい目に遭ったので雨の日だけはいつものように軽快に降らずに慎重に降るように心がけている私である。
 私の後ろで曽我さんが「アッ」と声をあげたので振り向くと、なんと藤生さんが一回転して落っこちて来るではないか。咄嗟に曽我さんが手をさしのべたが、運よくお尻から落っこちて大事には至らなかったので良かったが、少しヒヤッとする場面であった。

 駐車場まで引き返してカッパを来たまま今度は池の平まで向かう。何しろ1泊2日で出来るだけ多く行こうと言うのだから忙しい。池の平に着いて、車の中でパンを食べながら、雨が降っているしどうしようかと思案していると、車に戻って来た夫婦がいる。話を聞きに行くとアヤメには早いし、コマクサくらいしか咲いていないという。コマクサは昨日大変すばらしいのを見たので池の平散策は中止することにした。

 鹿沢まで戻って国民休暇村で入浴をお願いする。(1人525円)30分くらい前に団体が入ったので混雑しているかもしれませんよと言うことたったが、もう出てしまっていて空いていた。外の露天風呂には屋根が架かっており、雨に濡れる新緑を見ながら入る露店風呂は又格別であった。

 小諸まで来て燃料を入れながら、店員にソバのうまい所がいなか尋ねてみると、何度もテレビで紹介されている「丁子庵」というソバ屋を教えてもらって行って見ることにする。
 江戸時代から続くだけあって古風な佇まいのソバ屋である。米蔵だったところを店として使っていて、店の中にはテレビ撮影の風景が写真で展示されている。
 寅さんこと渥美清さんと一緒の写真も展示してあった。みんなで天ざるそばを注文して食べる。
 後は家まで戻るだけである。今回は天候にはあまり恵まれなかったが、思わず花に恵まれた山行である。花あり、温泉あり、うまいそばあり、まさに三拍子そろったところでよしとしよう。 


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