藤原岳
山行記録  [ back ]

フリガナ フジワラダケ 
山域・山名 藤原岳 1140m
日   時 1998年(平成10年)4月4日土曜日−5日日曜日 
天   候 晴れ 
行   程 4月4日
名古屋JCT
(16:15) (東名阪) 四日市IC(17:05)−湯の山ロッジ(17:35)
4月5日
湯の山ロッジ
(8:00) − 国道306 − 西藤原駅駐車場(8:35) 
 西藤原駅駐車場
(8:47)−自然科学館(9:03-07)−敬善寺(9:13)−聖宝寺(9:23)−3合目(9:51-56)−8合目(11:02)−表登山道入口(12:21)−西藤原駅駐車場(12:30)
西藤原駅駐車場(12:35)−湯の山ロッジ前(13:20)−御在所岳ロープエェイ駅(13:25) (ロープウエイ) 山上公園駅(13:50) (リフト) 山頂(14:23) (徒歩) 山上公園駅(14:50) (ロープウェイ) 御在所岳ロープウェイ駅(15:07)−湯の山ロッジ入浴(15:30-16:05)−四日市IC(16:27) 
所 在 地 三重県員弁郡北勢町、滋賀県神崎郡永源寺町 
2.5万図 竜ヶ岳 
緯   度 35.092 
経   度 136.2721 
備   考  


 

  「福寿草がきれいだったらしいわよん」と中野さんの一言で藤原岳への登山計画が決定した。
 藤原岳は東海地方を代表する鈴鹿山地の一角に位置し、太平洋側にしてはめずらしく積雪の多い山である。又良質な石灰岩の産地としても有名である。
 特殊な立地条件と石灰岩という植生によって豊富な花々に恵まれて、田中澄江の「新・花の百名山」にも選ばれている山である。

 浜松より西方面への山行は今回が初めてである。東名、東名阪と乗り継いで四日市ICで降りて本日の宿泊地、湯の山温泉「国民宿舎 湯の山ロッジ」へとやってくる。

 実は当初の計画ではOホテルを予約したのだが、下山後にどこか温泉に入れる所はないかと地元の観光課へ問い合わせてみると、3〜4件紹介してくれた内の1軒がこの湯の山ロッジである。
 早速電話をして、山へ登って帰りに入浴したいと言うと「入浴だけでも結構ですが、宿泊していただければただで入浴してもいいですよ」という。宿泊料金を聞いてみると8800円だという。うーん安いではないか。思わずその場で宿泊予約をして、Oホテルをキャンセルしてしまった。

 部屋で着替えをして早速風呂に入りにいく。風呂場のガラス窓の向こうに満開のサクラを見ながらの入浴はとても気分がいい。

 料理の方も料金の割にはまずまずである。皆で生ビールを注文してまずは乾杯。
 この席で曽我さんから今回の山行に初めて参加した秋山さんの紹介があった。ご主人も山に登られて、ハーモニカが上手だという。こんな会ですがよろしかったらいつでもご夫婦で参加してください。

 夕食後、フロントで西藤原岳までの道を教えてもらって部屋に戻り、1月から3月まで4回の山行ビデオを皆でワインを飲みながら見る。
 ビデオが終わって女性陣は風呂へ、我々はプロ野球開幕戦巨人対ヤクルトをホットウィスキーを飲みながら観戦する。
 途中で曽我さんはアイマスクに耳栓という完全防備で早々と布団に入り込んでしまう。今日は実に用意周到である。
 杉本さんと大谷さんと3人で尚もウイスキーを飲み続けていたが、あまり飲み過ぎると以前の北岳のようなことになりかねないので、アルコールもそこそこにして寝床に入る。

 朝食は7時30分からと言うことなのでその前に身支度を整え、朝食後すぐに出発出来るようにしておく。女性陣は朝の散歩に近くにある蒼滝まで行って来たらしい。

 宿を予定通り8時に出発して、最初のコンビニで昼食と飲料水を買い込み西藤原駅目指して走る。道の両側に満開のサクラ並木がありとても綺麗である。
 途中で斜面が大きく削られた山が見えてくる。秩父・小野田の藤原工場である。その裏側に藤原岳があるらしい。

 西藤原駅に着くと駅長が駐車料金の取り立てを行っている。500円を支払って車を止め出発の準備をする。
 駅長にこの地点の標高を尋ねたが分からない。近くでハイキング大会らしきものが行われていて、そこの人に聞くとパンフレットには150mと書かれているという。と言うことは標高差で1000m近く登る計算だ。

 駅前の道を歩いていくと、両側に建っている家はどれも立派な作りでまるでお寺のようである。しばらく歩くと自然科学館の前に出てくる。色々な物が展示されており、藤原岳の管理もしているそうだ。
 敬善寺の前まで来て地図を見るとどうやらだいぶ遠回りをしてしまったらしい。
 聖宝寺の境内を抜けると本格的な登山道だ。石がゴロゴロしていて雨の時には沢になってしまいそうな道を登っていくとすぐに水場がある。
 石を拾い上げて見ると白っぽい色をした石灰岩である。この地方の山は石灰岩で出来ており、先ほど見た採石工場もセメントの原料である石灰岩を採掘しているのだ。
 記念に一つザックの中に仕舞ってスギとヒノキの植林された道を登り始める。

 上の方で藤生さんの話し声が聞こえている。中野さんが途中で「この花は○○かしら」などと言っていたが私にはさっぱりわからない。
 二合目、三合目と標識を過ぎていくと五合目あたりでようやくお目当ての福寿草の群落に出会う。
 花の時期としてはもうかなり遅いらしく、かなり伸びてしまっているが、それでもまだまだ鑑賞に値するだけの数が咲いている。
 曽我さんはザックをおろし、三脚にカメラをセットして早速撮影を開始する。しばらくここで休憩していると上から降ってくる夫婦がいる。上の方の様子を聞くともう福寿草は伸びきってしまっていてダメだし、カタクリはまだ蕾の段階で早いという。
 聞くところによれば毎週のようにここへ通って来ているらしい。やはり一番いい状態の福寿草を見るためには3月10日頃、まだ残雪の時期にやってこなくてはダメだと言っていた。

 八合目までやって来ると表登山道からの道と合流している。ここで山頂を目指して登るか、表登山道を降って御在所岳へと向かうか話し合いをする。
 この先登ってもあまり花は期待出来ないようなので、折角ここまで来たのだから御在所岳に行こうと言うことになり、表登山道を降り始める。裏登山道よりも道幅も広くよく整備されている。
 キョロキョロ花など探しながら降ってくると西藤原駅のすぐ近くに出てくる。
 行きには気付かなかったがちゃんと表登山道の標識が設置されていた。

 駅まで戻り、急いで荷物を積み込んで、コンビニで買っておいた昼食を各自車の中で食べながら元来た道を御在所岳に向かう。
 ここまでの走行距離350Kmそろそろ我がスペちゃんにもご飯をやらねばなるまいと思いガソリンスタンドを探す。
 国道306号は田圃の中に出来た比較的新しい道でどこまでも真っ直ぐな道路が続いている。
 しかし、いくら走ってもガソリンスタンドが現れない。やっと現れたと思ったら休みである。次のスタンドも閉まっている。これは困った事になったと焦っている内に、朝立ち寄ったコンビニまで戻って来てしまう。
 仕方がないのでこのコンビニで杉本さんにスタンドの場所を聞いてきてもらったが、ある場所は分かったがやっているかどうかは分からないという。
 本当に困った事になってしまった。取り合えず東名阪のインターに向かって走ることにする。すると、すぐに営業しているスタンドが現れた。助かった、とホッとして給油をお願いして尋ねてみると、この辺では日曜日は当番制になっているとの事だった。
 伊豆方面では考えられないことだが、燃料は入れられる時に入れておけと言う大変良い教訓となる。

 昨日泊まった宿の前を通過して御在所岳ロープウェイの乗り場にやってくる。
ロープウェイは往復2100円で全長2161m、標高差780m、歩けば3時間以上かかるところを12分で登ってしまう。
 本来ならローフウェイなどに乗るなど邪道と言うものだが、今回は時間がないのであくまでもしかたなくロープウェイを利用することにした。

 ゴンドラから下を眺めるとマンサクやコブシの花が大変綺麗に咲いている。登ったり降ったりしている登山者の姿も見受けられる。
 歩いて登ればすばらしいのにと思いつつ、おとなしくゴンドラに揺られて山上公園駅で下車し、引き続いてリフトに乗って頂上を目指す。
 足をブラブラさせてリフトに座って下を見ていると、小さい花が咲いている。

 リフトを降りるとすぐ目の前が山頂である。柵で囲われた中に一等三角点が設置されており、御在所岳の標識と一等三角点と大きく書かれた標識が設置されている。
 こんなにも簡単に山頂まで来てしまってはちょっと期待外れである。山もここまで観光化されてしまってはどうにもならない。
 ベンチに腰掛けた女性のひざまくらで寝そべっている不貞の輩までいる。ダイナマイトでロープウェイなど吹き飛ばしてやるとやきもち半分に思うのである。

 山頂でしばらく休憩して山上公園駅まで歩いて戻り、ロープウェイで降ってくると引き換え券を発行している。
 出てすぐの所にある装飾店の人が「こっちに持って来てください」と言うので持っていくと「4000円当たりました」と言うではないか。
 キョトンとしていると、「こちらの商品定価が1800円ですけど1440円で買っていただければ左側の商品どれでも4000円分さしあげます」と言っている。
 「ヒスイで出来たひょうたん型のキーホルダーなんかいかがですか」というので、どうせ偽物だろうが1440円なら買ってもいいかなと思い、1つ買って、おまけに4000円分のネックレスを貰ってくる。
 家に帰って娘にネックレスを2つ渡すと、うれしがって早速首にかけたり、人形にかけたりして遊そびだした。
 そばで見ていた妻が「それどうしたの?」と聞くので「お前もほしいか」と、ヒスイで出来ているというキーホルダーをくれてやった。ところがそれを見ていた娘が「私に貸して」と言って取り上げた瞬間、ポトリとお膳の上に落ちたかと思うと見るも無惨に真っ二つに割れてしまたではないか。
 妻が拾い上げてよく見るとなんと接着剤で着いているだけの代物であった。最初から本物ではないと思っていたが、ここまでひどいものとは我ながら思わず苦笑いするしかなかったのである。

 御在所岳から昨日泊まった湯の山ロッジまで戻り、ただで入浴させて貰らい、昨日と逆ルートで帰宅の途についた。
 時間的に早かったので取り合えず高速道路に入ってしまう。多少の渋滞はあったが、まぁスムーズに沼津インターまで戻ってくる。
 
 今回の山行も天候に恵まれて半袖でもよいくらいの陽気であった。実際に御在所岳に行ってみて、あまりにも観光化されているのを見ると、やはり藤原岳の山頂まで行けばよかったかなとちょっぴり反省をしない訳ではないが、御在所岳の様子もわかった事だし次回は是非3月10日頃、残雪の藤原岳に登って雪の中から顔を出した福寿草を見たいものである。


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