蝶ヶ岳
山行記録  [ back ]

フリガナ チョウガタケ 
山域・山名 北アルプス 蝶ケ岳 2664m
日   時 1997(平成9)年10月15日(水) 
天   候 晴れ 
行   程 三俣駐車場(7:55)−蝶ケ岳ヒュッテ(昼食)(11:55-12:20)−頂上(12:53)−ヒュッテ(13:20-30)−三俣駐車場(15:56) 
所 在 地 長野県南安曇郡安曇村、南安曇郡堀金村 
2.5万図 穂高岳 
緯   度 36.1704 
経   度 137.4345 
備   考  


  紅葉と穂高連峰の雄大な眺めを見に蝶ケ岳に行こうと誘われて、代休をとって平日に出かけて行った。

 家を出る時はまだ真っ暗で空を見上げるときらきらと星が輝いている。今日も1日天気がよさそうだと思いながら待ち合わせ場所の富士宮へ向かう。
 ようやく夜が明けてくると、うっすらと朝霧高原の向こうに富士山が姿を現わしてくる。
  甲府南で中央高速に乗って、長野自動車道を豊科でおりて、林道を終点まで走る。途中雪化粧した常念岳が見えてくる。この林道は途中拡幅工事中で、三俣に大きな駐車場が作られている。
 駐車場には5台位の車が止まっており、ナンバーを見ると、大阪、京都、神戸、埼玉などかなり遠くからやってきている。

 我々が到着したときにバイクできている若者がおり、京都の立命館大学の学生で大きな荷物を背負って蝶ケ岳から常念岳を2泊3日で登ってくるのだという。
 我々は日帰りで荷物も少ないので「お先に」と一声かけて、駐車場でわかれる。この先はゲートがしてあって車で入れないようになっているが、林道はまだ先まで延びている。

 林道の終点に登山指導所とトイレがあり、この先が本格的な登山道となっている。
 最初に小さな橋を渡ると蝶ケ岳へ行く道と常念岳へ行く道が分岐している。川が増水しているときは巻道として常念岳の方の道を利用するようにと書いてある。

 沢沿いの道をしばらく歩くとゴーゴーと音を立てて流れる川の上に吊り橋が架かっており、さっきの巻道はここへ出て来るらしい。
 しばらく沢の音を聞きながら歩いていくと、だんだん沢の音から遠ざかって山道へと入っていく。

 ちょうど1時間くらい歩いたあたりで休憩している3人組に出会う。「昨日は蝶ケ岳ヒュッテに止まったが、突然の猛吹雪で、とても外には立っていられないほどだった」という。上の方はかなりの積雪があり、「アイゼンを持っているか」と聞かれたので「もっていない」と答えると顔をしかめている。

 我々は「日帰りだ」というと、「今頃こんなところにいるようでは降りて来ると真っ暗になってしまう。懐中電灯はもっいるのか、沢の辺りは暗くなると道に迷ってしまう」などとさんざん脅かされてしまう。
 この3人組にそんなことを言われたので、これから先はかなりハイペースで登り続ける。
 3時間も登り続けると降ったばかりの雪が15cm位登山道に積もっている。しかしさらさらした雪で、踏みしめるとキュッという音とともによくしまるのでアイゼンは必要ない。
 真っ白な新雪の上を「キュッ」「キュッ」と音をならしながら踏みしめて歩くのは実に気持ちがいい。

 森林限界を越えたなと思っていると蝶ケ岳ヒュッテが見えてくる。ぐるっと回り込むようにして尾根上にでるとなんと、目の前に巨大な穂高連峰の大岸壁が姿を現わし、思わず「すげー」とつぶやく。
 例年よりも早く雪が降り、かなり真っ白な状態である。前穂高岳、奥穂高岳、涸沢カール、屏風岩、北穂高岳、大キレット、槍ケ岳、大天井岳、常念岳、霞沢岳、眼下には上高地と梓川と最高のロケーションである。
 山頂付近には雲がかかってはいるものの、かなりの迫力である。

 ヒュッテのあたりには遮るものがなにもないので、風が吹き抜けてかなり寒い。小屋の中の自炊場をかりてかじかんだ手でなんとかお湯を沸かし、カップラーメンを食べる。
 こういう時は温かい物が一番ありがたい。一息ついて防寒着を着込み、ザックをデポして頂上を往復するためにカメラをさげて出かけて行く。
 途中山頂付近の雲が切れて槍ケ岳の穂先が見えてくる。急いでシャッターを押してその姿をカメラにおさめる。

 蝶ケ岳の山頂は、ただ石の上に頂上とだけかかれており、ほかには何もない。そこで写真をとり時間もあまりないので、急いでヒュッテまで戻る。
 途中大きな荷物を背負った若者が慌てて振り返り何事かと思ったら「今日は横尾から登って来たが、ここまで誰1人として出会わなかったので後ろでゴソゴソ音がするのでビックリした」と言っている。我々も今日は5人位の人にしか出会わず、ヒュッテもヒッソリとしていた。

 ヒュッテまで戻ると、今朝駐車場のところで会った立命館の若者がテントを張り終わって歩いて来る。
 「もうそろそろ降らないとやばいですよ」と言われ「降りはとてつもなく早いですから」と言葉を交わしてヒュッテを後にした。

 雪の詰まった登山道を慎重に降り、あとはひたすら駐車場めざして一直線。約2時間で降り、暗くなる前に無事下山する。
 諏訪のサービスエリアで温泉につかって登山の汗を流し、富士宮経由で20時過ぎに到着。ビール2本と日本酒2合を飲んで朝まで爆睡。
  それにしても蝶ケ岳からの眺めは、まさにアルプスと呼ぶにふさわしい眺めであった。 


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