塔ノ岳・鍋割山
山行記録  [ back ]

フリガナ トウノダケ・ナベワリヤマ
山域・山名 丹沢山塊 塔ノ岳(1491m)・鍋割山(1272m)
日   時 1995年11月12日(日) 
天   候 晴れ 
行   程 大倉(7:47)−大倉高原山の家(8:44)−駒止小屋(9:27)−花立山荘(10:40)−金冷ノ頭(11:00)−塔ノ岳(11:15-12:15)−金冷ノ頭(12:20)−鍋割山(13:15-50)−後沢乗越(14:35)−二股(15:20)−大倉(16:30)  
所 在 地  神奈川県  秦野市、愛甲郡清川村、足柄下郡山北町  
2.5万図  大山
緯   度  35.2703
経   度  139.0959
備   考  


 いま思えばみんなにさんざん丹沢、丹沢とさわぎちらし、半ばマインドコントロールをかけたように強引に連れていった感がなくもないが、なにはともあれ念願の丹沢に向けて出発である。

 つい三日ほど前まで猛烈に発達した低気圧の影響で風の強い日がつづいたが,その後は風もおさまり、会社から見る富士山も実に堂々とその雄大な姿をあらわしている。
 今日もまずまずの登山日和で、頂上からの景色に期待しつつ、大倉へと向かう。

 大倉へ着いて、駐車場に車を止めて出発の準備をしていると、神奈中のバスが登山者を乗せて大倉に着くのがみえる。
 噂には聞いていたが、バスは超満員状態で大倉のバス停に登山者をはこんでくる。
 都心に近く、バスの便がよいここ大倉は丹沢に登のには絶好のポイントであることはまちがいがない。
 そんな登山者に混じって我々も塔ノ岳に向けて足を進めていく。登山道までの間、車道を歩きながら見える丹沢の山々はさすがに奥深さをもってそびえいてる。
 標高こそ一番高い蛭ケ岳でも1673mと他の山に比べて決して高くはないが、大倉からの標高差は1000mを超えることからみても決して他の2000m級の山にはひけをとらない登りがいのある山である。

 登山道にはいり最初は歩きやすい道を進んでいくと、一人のパワフルな女性と出会う。
 女の二人連れで一人が荷物をもち、もう一人はなんと胸に1歳前くらいの子供を抱っこして背中には2歳くらいの子をおぶって登っている。なんともたくましい母親である。(子供の方は迷惑かもしれないが?)

 途中で道が2つに別れ一方は水場のある所を通って登る道、もう一方は水場を通らずに登る道、我々は折角だから水場のある方を選んで通ることにする。
 女性2人+2組は違う道を登って行ったので、ここでお別れである。別れ道をしばらく登ると大倉高原山の家に到着。
 水をのみ、水筒の水を入れ替えて、しばしの休憩をとる。ここからの景色もなかなかのもので相模湾から房総半島、三浦半島などが一望できる。3〜4人の人が外のベンチで朝食を食べている。

 この先もしばらくは単調の登山道が続き、途中で革靴をはいて登って来た登山者に道を譲り先ほど分かれた道と合流して、暫くしていよいよ本格的な登りの大倉尾根のはじまりである。

 ここまでは世間話しなどしながら比較的気楽な気分で登ってきたが、ここからの登りでは自然と皆無口になる。
 高鳴る心臓とはずむ息を整えつつ、木道の階段をひたすらうつむきかげんでもくもくとすすむ。

 下界でもそろそろ秋も終わり、冬が身近に感じられるくらい寒くなってきたが、ここではきつい登りにみな汗ビッショリである。

 駒止小屋で小休止。まだまだ先は長い登りの連続である。花立山荘直下までくるとさすがに皆、顔を真っ赤にしてはずむ息をころして精一杯ガンバッテ登っているのが感じられる。
 ぜひガンバッテ登っているところを写真に撮ってやろうとひと足さきに花立山荘まで登り写真機を出して皆が登って来るのを写真でパチリ。出来た写真を見て、自分がどんな姿で登っているのかあとでゆっくり眺めて下さい。

 杉本さんと二人で花立山荘で休憩していると、曽我さん、大谷さん、藤生さんの3人は休憩もとらずに頂上へ向けてもくもくと足をすすめていく。
 我々はその後姿をタバコを吸いながら眺めて、いよいよ見えなくなったころ、身支度を整えて出発する。

 3人とも大倉尾根の洗礼をうけてそれと戦いながら力を振り絞っていいペースで登っているとみえてなかなか追いつかない。
 頂上まであと10分位の所まできて来てようやく後ろ姿をみつけ、頂上最後までそっと後ろを歩いて行き、最後にまくってやろうなどとかってに想像していたが、大谷さんが振り向いて見つかってしまった。

 大倉から3時間30分塔の岳山頂に到着。
 山頂にはかなりの人がいて昼食をたべている。風が吹いていて汗でぐっしょり濡れたシャツを冷やしてとてもさむい。上着を着て早速昼食を食べることにする。

 ここには野生の鹿がたくさんいてみんなの昼食のおこぼれにあずかろうと虎視眈々とねらっている。
 先ず大谷さんが標的にされ、片手にもってたいたまごをよそみをしたすきに食べられてしまう。
 それからも気に入られたとみえて大谷さんの側からはなれようとしない。大谷さんが席を移動すると今度は藤生さんに的をしぼったようだが、食べ物を隠すとさすがにあきらめたのか大谷さんほどちょっかいを出さない。
 その横にいる杉本さんにもちょっかいをだすのかと思ったがあまりちょっかいをださないところをみると、やはり鹿も人をみるのか、ちょっかいを出して自分が食べられるのではないかと危険をかんじさせる人間にはよりつかないようだ。
(鹿の肉の旨さをしっているだけに出来ることなら捕まえて鹿刺しにしてニンニク醤油で一杯やりたいなと心の中で思っていたが、きっと杉本さんもそう思っていたに違いない)
 鹿に食べられないように素早く弁当を食べて、コーヒーを飲む事にするが、なんにしても寒くて、手がガタガタふるえてコーヒーの豆はこぼすは、コップはふるえるはで、じっくり味わってのんでいる暇もない。
 そそくさと身支度をして、この場をはなれ少し下がったところで一服することにした。

 さすがに少し下がった風の吹かないところではとても暖かい。頂上では写真だけ撮って下へ下がって昼食にすればよかったと後悔しても後の祭りだ。
 今日はこのまま大倉尾根を下って帰っても芸がないので鍋割山経由で下ることにする。

 塔の岳から約1時間、日当たりのよい鍋割山に到着。やはり大勢の人が弁当を広げて食べていた。
 我々も大谷さんがもってきたスープを飲んだり、藤生さんのようかんを食べたりしてつかのまの一服。
 しかし塔の岳の寒さとここの暖かさとはまた極端にちがう。風がふいているだけであんなにも体感温度が下がるものなのか。
 ここの山頂には鍋割山荘があり、ここの主人は今でも100キロ以上の荷物を背負って登ってくるとつい先日テレビで放映していたので顔を眺めて来ようと想い、混んでいる山荘の中をのぞくと、なるほどテレビで見たのと同じ顔をした草野さんの姿がそこにあった。

 ここからは長い下りの連続となる。しかし階段状の大倉尾根よりは時間は余分にかかっても歩き安いのではないかと思う。
 途中河原で顔を洗ったりしながら一服。

 二股から先は林道を永遠と1時間10分歩き大倉に到着。

 曽我さんをはじめ、大谷さん、藤生さん、ともに大倉尾根をコースタイム通りに登り切り、このコースをこの時間で歩き通せれば、基礎体力の衰えている現在の10代の若者にもけっしてひけをとらないとつくづく感心させられた。これに懲りずに来年の6月は西丹沢の檜洞丸ツツジコースにツツジを見に行きましょう。


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